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鬼退治
Last Update 2016/02/29 Access Counterカウンター

ますます“悪魔化”する 東電・原子力ムラの悪党たち 日刊ゲンダイ 2016年2月26日


 こんなバカな話があるものか。福島第1原発の事故当時、東京電力の社内マニュアルに「炉心溶融」(メルトダウン)を判定する基準が明記してあったのに、5年間もその存在に東電社員は誰ひとりとして気付かなかったというのだ。

 2010年4月に改訂された「原子力災害対策マニュアル」には「炉心損傷割合が5%を超えていれば炉心溶融と判定する」と明記されていた。東電は11年3月14日の朝には、1号機の炉心損傷割合が55%、3号機も30%と確認。マニュアルに基づけば、事故発生から3日後には「炉心溶融」と判定・公表できていたはずだ。


2011.3.12 福島第一原発 1号機爆発

福島原発1、3号機爆発映像

 ところが、東電は当時、炉心溶融の可能性を十分に認識しながら、あえて「炉心損傷」という表現を使い続け、より深刻な印象を与える「溶融」という言葉を避け続けてきた。「炉心溶融」を公表したのは、事故から実に2カ月後の11年5月のこと。公表が遅れた理由を今の今まで「判断の根拠がなかった」と説明してきたのだが、その「判断の根拠」は社内マニュアルにバッチリ記載されていたわけだ。

 マニュアルの判定基準について東電は、柏崎刈羽原発を抱え、原発事故の検証を続ける新潟県の技術委員会の求めで、今月に当時の経緯を調べ直すまで「気付かなかった」と説明したが、5年近くも放置されたことには違和感を覚える。


■再稼働のため国民にまた1つウソをつく


「端的に言って『東電はまた、ウソをついているな』という印象です。判定基準に5年も気付かないなんて、絶対にあり得ません」と、元経産官僚の古賀茂明氏はこう言った。

「官僚だった私から見ても東電の職員は官僚以上に官僚的です。事故当時のマニュアルは13年12月に全面改訂され、炉心溶融の記載は消えましたが、彼らは“白地に絵を描く”ことはしません。のちの説明のため、以前のマニュアルを詳しく確認し、記載の変更理由をしっかり整理する。新旧対照表の作成もルーティンワークのはずです。もちろん、事故当時だって炉心溶融の判定基準に気付いていたと思いますよ。今になって判定基準の存在を明かしたのは、恐らく東電が早期再稼働を目指す柏崎刈羽6、7号機の敷地内に活断層がないことが確定し、安全審査の先が見えてきたからです」


2011.3.12 福島第一原発 3号機爆発

 新潟県の泉田知事は「2カ月もメルトダウンが分からなかったとしたら、原発を運転する資格はない」と、東電を厳しく追及。再稼働を議論する前提として原発事故の検証と総括を東電に求めてきた。

「東電にとって悲願である柏崎刈羽原発の再稼働に向け、いつかは泉田知事に『炉心溶融』の判定基準の存在を説明するしかありませんでしたが、“今まで隠蔽してきました”とは口が裂けても言えない。だから、“うっかりミス”でごまかすことに決めたのでしょう」(古賀茂明氏=前出)

 要するに原発を再び動かすために、東電はまた国民を欺いているということだ。改めて、この企業の隠蔽、ウソつき体質にはヘドが出る。


原発利権温存に消えた6兆円もの国民のカネ

 こんなペテン体質の身勝手組織は、やはり延命させてはいけなかった。原発事故直後なら、東電は確実に潰せたはずだ。前出の古賀茂明氏も事故当時はまだ経産省に所属し、東電の破綻処理を熱心に訴えていた。
 それでも東電を潰せなかった要因は、経産省の責任逃れだ。そのデタラメなプロセスを国民には改めて知ってほしい。

 事故直後に問題化したのは、原子力損害賠償法に基づく免責規定の適用の可否だ。同法には「異常に巨大な天災地変」によって生じた損害は、電力会社は免責になるという例外規定がある。東電は当初、福島原発の津波被害は「巨大な天災」にあたると主張。免責を強く訴えていた。

 これに焦ったのが経産省だ。東電が免責されれば、世論の批判は当時の保安院など経産省に向かう。それを恐れて経産省は、当時の細野哲弘資源エネルギー庁長官が東電の勝俣恒久会長のもとに日参、「免責を主張しなければ経産省が必ず東電を守る」と密約を交わしたとされる。

爆発により破壊された福島第一原発

 すると、3月末には3つのメガバンクが東電に2兆円を無担保、無保証、最優遇金利で融資することを決めた。未曾有の大事故を起こし、東電株が暴落する最中の異例の巨額融資にも経産省の暗躍が囁かれた。当時の松永和夫事務次官が、全国銀行協会会長で三井住友銀行の奥正之頭取に「絶対に潰さないから融資してくれ」との密約を持ちかけたといわれている。

 そして前出の細野氏が中心となり、東電の損害賠償支援スキームを作成した。債権者のメガバンクや株主を免責し、国と電力会社などの出資で設立した原子力損害賠償支援機構が、必要に応じて東電に資金を注入。東電の経営破綻を回避し、その延命を事実上、国民の電気料金や税金で支える仕組みだ。
 これまで支援機構から東電には計49回、累計5兆8204億円もの交付金が流れている。東電本体や融資先のメガバンクを救うため、とてつもない額の国民のカネが今なお使われているのだ。


■事故の責任回避で天下りを謳歌する経産官僚


 結局、東電破綻処理を訴えた古賀氏は追われるように経産省を去ったが、破綻回避のスキームをつくった細野氏は悠々自適。現在はみずほ銀行の顧問に収まっている。当時のみずほコーポレート銀行は3・11以前、東電に5818億円を長期で貸し付けていた。持ち株比率第8位の大株主でもある。東電が破綻すれば巨額の債券や株を失っていただけに、細野氏は“大恩人”。もろ手を挙げて迎え入れたのだろう。前出の古賀茂明氏は古巣をこう批判した。

「顧問だから仕事はない。快適な部屋があって最高級の黒塗りの車がついて、昼も夜も接待費は青天井という生活でしょう。他にも原発事故以降に金融機関や保険会社に天下った幹部官僚は多い。賠償支援機構という新たな天下り組織を立ち上げ、事実上の国有化で経産省の“子会社”のようになった東電には経産官僚が現役出向で『執行役』として天下っています。経産省は未曾有の事故の責任を誰も取っていないのに、原発利権は事故以前に逆戻りどころか、拡大させているのです。福島復興に協力する国民の善意を悪用し、東電と銀行を助け、利権をむさぼる構図です」


おびただしい放射性廃棄物の山


■原発がある限り事故は必ず起きる


 こうした原子力ムラの横暴を後押ししているのが、安倍政権だ。昨年7月には「原発ゼロ」を目指した民主党政権の方針を大転換。国民が頼みもしないのに、原発を「重要なベースロード電源」と勝手に位置付け、総発電量に占める割合を20~22%とすることを決めた。原発輸出を国是に掲げる手前、国内で稼働させないわけにはいくまいという発想なのだろう。

 情けないのは本来、独立性の強い第三者機関だったはずの原子力規制委員会まで強欲な政官財癒着の構造にのみ込まれてしまったことだ。24日も運転開始から40年を超えた関西電力高浜原発1、2号機が新規制基準に「適合する」とお墨付きを与えた。

 原発事故後の法改正で、原発の運転期間は「原則40年」と定められたが、早くも骨抜き。「例外的な場合に限られる」(当時の野田首相)とした最大20年の延長がアッサリ認められれば、実質「60年廃炉」となる恐れがある。規制委はそんな重要な議論をわずか15分で終了。老朽化した原子炉や建屋の安全性を確かめず「適合」と認めた。完全に原子力ムラの追認機関に成り果てている。


原発のPRと推進を呼び掛けた看板

「規制委のスタッフの大半は旧保安院から横滑りし、原子力ムラの“安全神話”が温存されているきらいはありましたが、まさか、ここまでとは……。田中俊一委員長も“ムラ人”が選んだ人材ですから、ムラの論理を覆せない。結局、『60年運転』を求める原子力ムラの論理は、安全性より採算性の優先です。火力発電の燃料費を浮かせるため、古くても出力の高い原発を動かし、電力会社の利益を押し上げたいだけ。原発輸出の国是と電力会社の短期的な利益のため、安全面を度外視にして『60年運転』という国土を使った壮大な実験を行う。まさに悪魔の論理です」(原発問題に詳しいジャーナリストの横田一氏)

 未曾有の事故から、たった5年で原子力ムラの住人が息を吹き返し、原発無法地帯と化しつつあるニッポン。この先、再び放射能被害に見舞われるまで、国民は原子力ムラの暴走を黙認するつもりなのか。

 京大原子炉実験所(大阪府熊取町)で研究を続け、原発に反対してきた「熊取6人衆」。昨年退官した小出裕章氏に続き、最後のひとりとなった今中哲二助教が定年を迎えた。今月10日の市民向けの最後の講義で、今中氏は力強く断言した。
「原発は、安全か、危険かという問題ではない。原発は危険だ。原発がある限り、事故は起きる」
 まともな理屈が通じない国は滅びるしかない。


【出典】ますます“悪魔化”する 東電・原子力ムラの悪党たち
    日刊ゲンダイ 2016年2月26日

 
原子力村 癒着の相関図
原子力村関連多額寄付
九人の学者の回答 
原子力村の住民一覧
原子力村
 
原子力村の住民一覧
 「原発マネー」1億2647万円が流れ込んだ9人の学者の回答一覧
【※SAPIO2012年4月4日号】より  全文
「奨学寄付金」「受託研究」「共同研究」などの名目で(電力会社、ゼネコン関連などから)カネが流れた研究者たちは、その事実についてどう答えるのか? 以下は、その回答である。

●前川宏一(東京大学大学院工学系研究科教授)=奨学寄附金1519万円「規則に基づいて適正に受け入れ、会計規定に基づき適正な執行を行なっている」

●堀井秀之(東京大学大学院工学系研究科教授)=受託研究1000万円、共同研究150万円「規則に基づいて適正に受け入れ、会計規定に基づき適正な執行を行なっている」

●田中和広(山口大学大学院理工学研究科教授)=奨学寄附金200万円「奨学寄附金は火山の研究のためのもので、(提供元は)九電の子会社だが、原発という意識はなかった。原子力土木委員会には、最初に1回出ただけで具体的には活動していない」

●谷和夫(横浜国立大学理工学部教授)=奨学寄附金530万円、共同研究(不明)「共同研究は原発に関係あるものとないものと両方ある。津波評価部会は、個別のサイトの評価結果は示していないし、自分は原子力産業から資金提供を受けていない」

●丸山久一(長岡技術科学大学工学部教授)=奨学寄附金100万円「寄附金は、実験・調査に関わる諸経費(機器の購入、材料の購入、旅費、文献購入費等)、研究補助をしてくれる学生への謝金等に使われる。専門はコンクリート工学なので、その観点から委員会の議論に加わっている。2002年2月の『原子力発電所の津波評価技術』には一切関わっていない。研究者、技術者として、自分で築いてきた内容、感覚に背いてまで発言することは、これまでなかったし、今後もないと思う」
●山崎晴雄(首都大学東京都市環境学部教授)=奨学寄附金330万円、受託研究1297万4843円「取材はお断わりする」

●大西有三(京都大学副学長、元工学部教授)=共同研究3150万円、受託研究1212万4350円(締め切りまでに回答なし)

●米山望(京都大学防災研究所准教授)=奨学寄附金540万円、共同研究1225万7500円、受託研究63万円「原子力土木委員会の委員への就任は2011年6月であり、奨学寄附金等はすべて水力発電に関するもの」

●宮川豊章(京都大学大学院工学研究科教授)=奨学寄附金700万円、共同研究630万円「奨学寄附金は実験費用等に使った。共同研究、受託研究は全て原発とは関係のない研究。津波が専門ではないし、学会の委員会で発言がお金の出し手に対して甘くなるようなことはない。そちらの定義する原子力産業には、大きな違和感がある。大きな組織の関係ない他部署から、受託研究や奨学寄附金をいただいている。津波想定を議論したのは私が委員になる前だが、当時の工学の最先端の成果であったと考えている。技術のレベルが未熟だったかもしれないという忸怩たる思いはあるが、責任問題とは違う次元の話だと考える」
※SAPIO2012年4月4日号より
 
 
原子力関連多額寄付-新聞記事より 
<関電、大学に2.9億円寄付 過去10年間で>
 関西電力:過去10年で計24件、2億9千万円の大学への寄付を明らかにしたが、政治家のパーティー券購入の実績など全体の3分の1にあたる項目では、一部または全体の開示を拒否した。
朝日新聞 http://bit.ly/HHHXDt 
<福井県原子力委員に1490万円 電力側 5人に寄付>
 福井県原子力安全専門委員会の委員12人のうち、4人が2006~10年度に関西電力の関連団体から計790万円、1人が電力会社と原発メーカーから計700万円の寄付を受けていた。
朝日新聞 
<福井県原子力委4人に寄付 関電関連団体、大飯でも助言>
 「県原子力安全専門委員会」のメンバー12人のうち4人の研究者が関西電力の関連団体「関西原子力懇談会」から奨学寄付金として2006~10年度に計790万円を受け取っていた。
47ニュース http://bit.ly/L6TGRC 
<原発地元に匿名寄付500億円 大半は電力業界>
 福井県:150億円は同県内に原発をもつ関西電力など電力事業者からと特定できた。電源三法交付金が国を通して計3245億円交付されているが他にも巨額の金が見えない形で地元に入っていた。
朝日新聞 
<原子力業界が安全委24人に寄付 計8500万円>
 班目委員長を含む3割近くの24人が2010年度までの5年間に、原子力関連の企業・業界団体から計約8500万円の寄付を受けていた。
朝日新聞
<原発自治体に寄付1600億円超>
 この寄付金は、発電事業に必要な費用として電気料金に組み入れられてきましたが、電気料金制度について議論してきた経済産業省の有識者会議は「これまでのように費用として認めるべきではない」と指摘。
NHKニュース http://bit.ly/L1PTRs
<原子力委3人に業界から寄付 5年間で1800万円>
 内閣府原子力委員会に設けられている会議の専門委員23人のうち、原子力が専門の大学教授3人全員が、2010年度までの5年間に原発関連の企業・団体から計1839万円の寄付を受けていた。
朝日新聞 
<寄付受けた教授主導:「核燃輸送容器」検査基準を企業に配慮>
 原発を巡っては、学会や業界団体が定めた内容が国の基準に採用される例も多いが、「原子力ムラ」内部で自分たちに有利な基準を作り上げていく構図が浮かんだ。
毎日新聞 http://bit.ly/L6Vkmv
<原子力機構へ多額寄付 電力業界から2億5千万円>
 機構は、原子力安全委員会内の「安全専門審査会」で審査に当たる委員計62人のうち10人を出しており、「寄付が審査を形骸化させているのではないか」との批判も出ている。
北海道新聞 http://bit.ly/LC3j7z
<教育委員3人、茨城知事に献金 計780万円>
 茨城県の橋本昌知事の資金管理団体「昌峯会」が2008~10年、知事に任命権のある県教育委員本人や教育委員が社長を務める企業から、寄付と政治資金パーティー券の購入で計780万円を得ていた。
朝日新聞 
 
初秋の札幌の夜景(夜9時頃)
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主催 元北海道大学 文部科学技官 石川栄一



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